「ChatGPTを使えば、ブログ記事は自動で量産できる」
そんな言葉を目にして、期待と同時に違和感を覚えたことはありませんか。
実際に試してみると、確かに文章は一瞬で生成されます。
しかし、どこか機械的で、読者の顔が見えない。
情報は間違っていないのに、なぜか最後まで読まれない。
手直しを重ねるうちに、「これ、本当に効率化できているのだろうか」と感じ始めた方も多いはずです。
問題は、ChatGPTの性能ではありません。
多くの場合つまずく原因は、「任せ方」と「人が介在するポイント」を誤っている点にあります。
AIに丸投げすれば質が落ち、人が全部書けば時間が足りない。
このジレンマこそが、生成AI時代のブログ運営で最も多い悩みです。
本記事では、ChatGPTを自動生成ツールとしてではなく、編集アシスタントとして使いこなす視点から、
人の思考とAIの強みを組み合わせ、「読まれる記事」を安定して生み出すための具体的な設計思想を解説します。
もし今、
・AI記事が量産止まりで成果につながらない
・どこまで人が手を入れるべきか迷っている
・効率と品質を同時に上げたい
そう感じているなら、この記事はその整理役になるはずです。
この「任せ方の誤り」は、文章生成だけでなく、AI画像生成の分野ではさらに顕著な問題として表面化します。
AI画像生成の最大の壁と「一貫性」の重要性
AI画像生成ツールは驚異的な進化を遂げていますが、クリエイターや企業が連作やシリーズ物の制作で直面する最大の壁があります。それが、「一貫性の欠如(Character Consistency:別人になる問題)」です。
あるプロンプトで最高のキャラクターを生成しても、次に「服を変えて」「ポーズを変えて」とプロンプトを変更した瞬間、顔立ちや雰囲気がガラリと変わり、まるで別人になってしまうのです。
本記事では、この最大の壁を打ち破り、同一人物のまま「泣き顔」「爆笑」「衣装チェンジ」を自由自在に実現する、ツールごとの上級テクニックを、初心者にも分かりやすく解説します。
1:基礎の裏技 — 画像の品質を爆上げする定型表現
上級テクニックに入る前に、まず生成される画像の品質自体を底上げしましょう。AIに「プロの写真家やデザイナーの仕事だと思って描け」と指示するマストワード(おまじない)を使いこなします。
| 目的 | 英語プロンプト例 | 日本語訳・意図 |
| 品質・解像度 | masterpiece, best quality, ultra detailed, 8k | 「最高品質の傑作」だと指示し、破綻の少ない高解像度画像を要求する。 |
| ライティング | cinematic lighting, volumetric lighting, rim light | 「映画のような照明」や「輪郭を際立たせる光」を指定し、ドラマチックな立体感を出す。 |
| 構図・ボケ | shallow depth of field (DOF), rule of thirds | 「背景ボケ(被写界深度の浅さ)」や「三分割法」を指定し、プロ写真のような構図を指示する。 |
| 画風の指定 | by Greg Rutkowski, Studio Ghibli style | 特定の有名アーティストやアニメスタジオの画風を適用し、独自のタッチを再現する。 |
【重要性】 これらの基礎プロンプトを徹底することで、次に解説する「一貫性」のテクニックを使った際の画像の安定性が飛躍的に向上します。
2:人物固定プロンプト|完成テンプレ(汎用・長期運用向け)
① キャラクター基本情報(絶対固定)
A consistent character:
- Gender: (例:female)
- Age: (例:late 20s)
- Ethnicity / nationality: (例:Japanese)
- Body type: (例:slim, average height)
- Face shape: (例:oval face)
- Skin tone: (例:fair skin)
- Eye color & shape: (例:dark brown, slightly almond-shaped)
- Hair: (例:long straight black hair, center part)
※ここは一度決めたら変更しない領域です。
② 表情・雰囲気(用途別に変更可)
Facial expression and mood:
- Expression: (例:calm and intelligent smile)
- Personality impression: (例:professional, trustworthy, gentle)
- Emotion level: (例:neutral to slightly positive)
③ 服装・スタイル(シーン依存)
Clothing and style:
- Outfit: (例:simple modern business casual)
- Colors: (例:white, beige, muted tones)
- Accessories: (例:minimal, no flashy items)
④ 撮影条件・構図(安定化の要)
Camera and composition:
- Shot type: (例:upper body portrait)
- Camera angle: (例:eye-level)
- Lighting: (例:soft natural light)
- Background: (例:simple, blurred, neutral color)
- Style: realistic, high-detail, photorealistic
⑤ ネガティブプロンプト(必須)
Negative prompt:
- different person
- different hairstyle
- exaggerated facial features
- anime style
- cartoon
- low quality
- distorted face
🔒 運用ルール(重要)
- ①キャラクター基本情報は毎回全文コピペ
- 表情・服装・背景のみ変更する
- 途中で「雰囲気」や「年齢」を曖昧にしない
- 新しい人物を作りたい場合は、必ず新テンプレを作成する
3:実践!「同じ人」に表情・感情を移植する技
この章では、私たちが実際に試した「対話によるキャラクター固定術」を解説します。Googleの最新モデル「Nano Banana Pro (Gemini 3 Pro Image)」(2025/12/20現在)は、プロンプトによる対話だけで一貫性を保つことに長けており、初心者にとって最も簡単な方法です。
1. 「同じ人物」を指定する魔法の呪文
ナノバナナで同一人物を維持するためのカギは、AIに対して明確に「同じ人だよ」と繰り返し伝えることです。
- キープロンプト:
the same person as before,consistent character
2. 感情変化

プロンプトに感情表現を加えるだけで、顔の特徴を保ったまま感情だけを変化させます。
| 変化の目的 | 追記する感情プロンプト | 技術的なポイント |
| 泣き顔 (悲しみ) | with a crying expression, tears streaming down her face, looking sad | 感情と物理的な現象(涙)を具体的に描写し、AIの理解を深める。 |
| 爆笑 (喜び) | with a genuine and hearty laugh, big open-mouthed smile, looking joyful | big smileだけでなくhearty laugh(心からの笑い)など、感情のニュアンスまで細かく指示する。 |
📌補足: ナノバナナは自然言語の理解度が高いため、「悲しそうに見える」といった抽象的な指示も正確に反映します。しかし、感情が過剰に表現されすぎる(オーバーフィッティング)場合は、ネガティブプロンプトで
too exaggerated,ugly faceといった単語を除外すると安定します。
4:制御力の比較 — AIツール別「一貫性」の極め方
ナノバナナが「対話」で一貫性を保つのに対し、他の主要AIは「専用機能」で一貫性を固定(ロック)します。目的によって最適なツールが異なります。
A. Midjourney(アーティスト的制御)
Midjourneyは、特定のパラメータ(コマンド)を使って顔の固定強度を調整します。
| コマンド | 役割 | 目的と使い方 |
--cref [URL] | キャラクター参照 | 元の画像のURLを指定し、この人物の特徴を新しい画像に適用する。 |
--cw [0-100] | ウェイト(重み) | キャラクター特徴の維持強度を調整する。 |
【プロの裏技:衣装だけ変える方法】
服装や背景を変えたいときは、--cw 0を使います。これは「顔だけは元の画像を参考にしろ。でも服装や背景はプロンプトの指示通りに自由に描け」という意味になり、キャラクターを維持したまま、衣装やポーズを大胆に変更したい場合に最適です。
⚠️ 注意点:
--cw 0は顔の核となる特徴を維持しますが、完璧な再現を保証するわけではありません。特にプロンプトを大きく変える際は、複数回生成して最適な画像を選ぶことが必要です。
B. Stable Diffusion(究極のエンジニア的制御)
Stable Diffusionは、カスタマイズ性と制御力が圧倒的です。商業利用や特定のキャラクターを完璧に固定したい場合に選ばれます。
| 技術 | 役割 | 目的と使い方 |
| LoRA (ロー・ランク・アダプテーション) | 追加学習モデル | 同一人物の画像を複数枚使ってAIを再教育し、その人物の顔を完全に覚えた専用モデルを作成する。 |
| ControlNet | ポーズ・骨格固定 | 元画像の骨格や輪郭を抽出し、それを設計図として上書きすることで、顔の形や体格を崩さずに、ポーズだけを変更する。 |
📌補足: ナノバナナが優れているとはいえ、極めて高い再現性が必要な商用キャラクター、または複雑なアクションやポーズを正確に連作する際には、LoRAやControlNetといった拡張機能による「ロック」が最終手段となります。特に顔の同一性を完璧にするには、ControlNetだけでなく、IP-Adapterなどの複数の拡張機能との組み合わせが推奨されます。
まとめ:あなたに最適な「一貫性」の選び方
| 目的 | 最適なツール/技術 | 特徴 |
| 手軽に表情・衣装を変えたい | ナノバナナ (Gemini) | 対話で完結。簡単さとスピード重視の初心者向け。 |
| 顔は固定しつつ、服装は自由に変えたい | Midjourney (--cref + --cw 0) | アーティスティックな品質を保ちつつ、直感的に調整したい中級者向け。 |
| 完璧なポーズと顔を連作したい | Stable Diffusion (LoRA & ControlNet) | 商業利用やシリーズ化など、最高レベルの制御を求める上級者向け。 |
⏭️ 次のステップ:大胆な衣装チェンジに挑戦!
感情操作をマスターしたあなたは、もう初心者ではありません。次は、この一貫性テクニックを駆使して、「中世の騎士の鎧」や「サイバーパンクな衣装」を着せるなど、大胆な衣装チェンジに挑戦してみましょう!
今回紹介した「人物固定プロンプト」や一貫性設計は、
プロンプトを場当たり的に書かず、設計として考えることで初めて安定します。
ChatGPTを含む生成AI全般で使える、
プロンプト設計の考え方・用途別テンプレートを体系的に整理した記事はこちらで解説しています。
ChatGPTで最高のプロンプトを書く方法|用途別テンプレートと実践テクニック https://036blog.com/how-to-write-the-best-prompt/