[記事要約] 自家焙煎のコーヒーを販売する個人事業主が、SNS発信のネタ切れという壁をAIと豆データベースで乗り越えた実践記録。毎日の投稿を続けながら「一次情報の枯渇」をどう解決するかについて、具体的なワークフローをもとに解説する。
正直に話します。コーヒー屋なのに、ブログがテック記事ばかりになっていました
このブログを読んでいただいている方はご存知かもしれませんが、私のWordPressには画像編集や動画ツール、AIの使い方といった記事が多く並んでいます。
自家焙煎士なのに。
なぜそうなったか。答えは単純で、コーヒーの記事より書きやすかったからです。テック系の内容はネタが途切れない。新しいツールが出れば書ける。アップデートがあれば書ける。
ところがコーヒーは違います。豆の種類、焙煎の話、抽出の方法——これらは確かに奥が深いのですが、ある程度書き続けると「一回り」してしまいます。似たような話題を繰り返すだけになる。読んでいる方に申し訳ない気持ちになる。
正直、そのプレッシャーから逃げるように、テック記事に流れていた部分があります。
でも、SNSは毎日コーヒーの話を続けられています
面白いことに気づきました。
X(旧Twitter)、Threads、Instagramのコーヒー関連アカウントは、毎日更新できています。ブログと違って、ネタが尽きていない。
なぜか。
振り返ると、SNSの投稿はここ数ヶ月、AIと一緒に作っているからでした。
ルーティンはこうです。その日の気づきや豆の状態をメモしてAIに渡す。AIが案を出す。私が確認してフィードバックする。修正があれば直して完成。
この「確認してフィードバック」のプロセスが、ただの作業を超えた対話になっています。AIが提示した角度に対して「それは違う、実際にはこうだ」と返す。その往復のなかで、自分がコーヒーについてまだ語っていないことに気づくのです。
28種の豆データベースが「ネタの底」を取り払った
私のObsidian(※1)というメモアプリには、取り扱う豆の情報が28種類整理されています。
エチオピア イルガチェフェ、ブラジル サントス、パナマ ゲイシャ——それぞれに、フレーバーノート、推奨焙煎度、ペアリングの組み合わせ、飲み頃のエイジング日数などが記録されています。
これは単なる管理ファイルですが、AIに渡すと別の顔を見せます。
「エチオピア イルガチェフェとフルーツタルトのペアリングを、コーヒー初心者に届く言葉で説明してほしい」
そう頼めば、豆の知識を持たない読者に向けた発信ができる。
「浅煎りの酸味が苦手な人に向けて、ブラジルをすすめる文章を書いてほしい」
そう依頼すれば、特定の悩みを持つ読者に響く内容になる。
28種の豆それぞれに、フレーバーと焙煎と飲み方の組み合わせがある。同じ一種の豆でも、視点を変えれば語り方が何通りにも変わります。データという「素材」がある限り、ネタは一回りしません。
大事なのは「AIが書く」ではなく「AIと確認する」
誤解を避けるために書いておきます。
AIが書いた文章をそのまま投稿することはしていません。それでは私の言葉ではなくなるし、正直、読んでいてわかります。
私がやっているのは、AIを「最初の読者」として向き合わせることです。
自分の気づきや知識を渡して、AIに整理してもらう。返ってきた案を読んで、「ここは違う」「ここは表現が薄い」と感じたことを言語化する。そのフィードバックを繰り返しているうちに、自分が何を伝えたいのかが、かえって明確になっていきます。
発信の目的はシンプルです。コーヒーに関心を持っている人と、もっと接点を持ちたい。豆を手に取ってもらうきっかけを増やしたい。
AIはそのための「言葉の整理係」として、今は毎日動いてくれています。
コーヒー屋がテック記事を書き続けた理由が、ようやくわかりました
テック系の記事を書き続けていたのは、逃げだったかもしれない——そう一度は思いました。
でも正確には違いました。
テック記事を書き続けていたからこそ、ObsidianというツールにたどりつきAIエージェント(※2)と出会い、今のコーヒー発信の仕組みを作ることができた。ツールを知ったのは、ツールを書いていたからです。
遠回りに見えたことが、すべてつながっていた。逃げではなく、これも自分の軌跡だったのだと、今は思っています。
コーヒーもテックも、どちらも「自分」です。それを改めて言葉にできたこと自体が、この記事を書いた一番の収穫でした。
このブログではコーヒーの話と、その裏側にある小さな工夫を、不定期に書いていきます。
※1 Obsidian(オブシディアン): ノートやアイデアをファイルとして管理できるメモアプリ。インターネットに接続せずローカルで動作するため、プライバシーを保ちながら情報を整理できる。
※2 AIエージェント: 人間の「秘書」のように、指示を受けて自律的にタスクをこなすAIプログラム。単に質問に答えるだけでなく、ファイルの作成・編集・情報収集なども行う。
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