「プログラミングに興味はあるけれど、何から手をつければいいのかわからない」
「AIにコードを書いてもらったものの、結局どうやって動かせばいいのか……」
そんな風に立ち止まっているなら、今日がその最後の日になるかもしれません。Googleが世に送り出した最新のAIエディター『Antigravity(アンティグラビティ)』。これは単なるツールというより、言葉を投げかけるだけでアプリを組み上げてくれる「全自動の開発エンジン」と呼ぶのがふさわしい存在です。
この連載(全3部)では、エンジニアの視点から、初心者が途中で挫折することなくアイデアを形にするための最短ルートを案内します。
第1部で目指すのは、このエンジンをPCに導入し、「AIが日本語を正しく理解し、スムーズに動いてくれる状態」を整えることです。まずはここから始めましょう。
1. 準備:スムーズな開発のための「推奨環境」
作業を始める前に、まずは土台となる環境を確認しておきましょう。Antigravityは最新のAI技術を駆使するため、以下の環境で利用することを強くおすすめします。
- 推奨ブラウザ:Google Chrome(最新版)AIが「ブラウザの中を覗いてチェックする」機能を利用するため、Google Chromeが必須となります。他のブラウザでは一部の強力な連携機能が動かない場合があるため、ご注意ください。
- 使用PC:Windows / Mac / Linux(デスクトップPC推奨)複雑なコード生成やプレビュー表示を行うため、タブレットやスマートフォンではなく、物理キーボードのあるPCでの作業を前提としています。
- Googleアカウント開発環境の保存やAIモデルの利用に必要です。普段お使いのアカウントで問題ありません。
2. なぜ「Antigravity」がこれほど注目されているのか?
これまでの開発ツールと何が違うのか。一言でいえば、その「距離感」です。
- これまでのツール: 熟練のドライバーが、コンマ一秒を削るために操る「F1マシン」のようなもの。
- Antigravity: 「目的地を告げるだけで、安全に目的地まで連れて行ってくれる自動運転車」。
もはや、専門的なコードの羅列に頭を抱える必要はありません。AIがユーザーの「手」となり「目」となって、ファイルの作成から、複雑なエラーの修正までをまるごと引き受けてくれます。これこそが、多くの人が「神ツール」と呼ぶ理由です。
3. 導入:AIエンジニアをPCに迎え入れる
それでは、PCにAntigravityをインストールする手順に進みましょう。
- 公式サイトからダウンロードAntigravity公式サイト(またはProject IDX関連ページ)へアクセスします。ご自身のOSに合ったインストーラーをダウンロードしてください。
- インストールとログインアプリを起動したら、Googleアカウントでログインします。専用のユーザー登録が不要なのは、Google製ツールならではの利点です。※ログイン時にブラウザが開きますので、そこで「許可」を選択するのを忘れないようにしてください。ここで立ち止まってしまう方が多いのですが、AIとの「通信経路」を確保するための大切なステップです。
4. セットアップ:AIを「日本語の相棒」に変える
起動した直後は、まるで航空機のコクピットのように、すべてのメニューが英語で表示されています。少し圧倒されるかもしれませんが、心配はいりません。以下の手順で、使いやすい日本語モードに切り替えてしまいましょう。
① メニューの日本語化
- 左サイドバーにある、四角いブロックが組み合わさったアイコン(拡張機能)をクリックします。
- 検索窓に
Japaneseと入力してください。表示されたJapanese Language Pack for Visual Studio Codeをインストールします。 - 画面右下に「再起動(Restart)」を促す青いボタンが出ますので、これをクリックします。これで、ようやく見慣れた日本語の画面に切り替わります。
② AIとの対話を日本語に固定する(重要な設定)
メニューが日本語になっても、AIの内部処理はまだ英語の設定になっています。ここを日本語に指定しておかないと、後の工程でコミュニケーションに支障が出てしまいます。
- 画面左下の歯車アイコン(設定)、もしくはチャット欄付近にある設定ボタンから、[カスタム指示](Custom Instructions)または[グローバル設定]を開きます。
- 以下の指示を、そのまま貼り付けて保存してください。指示: 「これ以降、私との会話、提案、作成するアプリ内のテキスト、コード内のコメントは、すべて日本語でお願いします。もし私が英語で話しかけても、回答は日本語で統一してください。」
5. 仕上げ:AIに「視覚」と「権限」を与える
最後に、「開発をスムーズに進めるためのひと工夫」をお伝えします。
Chrome拡張機能を導入する
ブラウザ(Google Chrome)側にも、専用の「Antigravity拡張機能」を追加します。
- なぜ必要か?:AIが「自分が作ったサイトがブラウザで正しく表示されているか」を自らチェックするための「目」の役割を果たすからです。導入後、接続の許可を求められたら承認してください。
AIに実行の自由を与える
設定画面で、AIがファイルを書き換えたり、コマンドを実行したりすることを「許可(Allow / All Proceed)」に設定しておきます。
ここを「全自動」にしておくことで、AIが逐一確認を求めることなく、深夜の修理工のように自律的にバグを修正してくれるようになります。
第1部のまとめ:下準備は完了です
お疲れ様でした。これで、「日本語を完璧に理解し、自らエラーを直してくれるAIエンジニア」が、PCの中に常駐したことになります。
設定作業で少し疲れを感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ここまでは美味しい料理を作るための「キッチンの清掃」のようなものです。次はいよいよ、この場所で実際にアプリを産み出す番です。
自分専用のタスク管理ツール、あるいは世界に一つだけの趣味の図鑑……。あなたの頭の中にあるアイデアが、ついに形を持ち始めます。
第2部のテーマは:【実践編】コード0行。言葉が数分で動くアプリに変わる瞬間
準備はよろしいでしょうか。それでは、クリエイティブな冒険へ出かけましょう。