「Adobeでいつも使っていた『あの機能』、Affinityではどこにあるの?」 「操作感が変わって、仕事のスピードが落ちるのが一番怖い……」
長年Adobe CCを使いこなしてきたプロにとって、ツールの乗り換えで最も高いハードルは「手の馴染み(操作感)」の違いです。
この記事は
【2025年最新版】AdobeからAffinity V3 + Canvaへ。自由な制作環境を手に入れるための完全ロードマップ の、具体的な「操作習得ステップ」をサポートするものです。
「指が覚えている」を、そのまま新しい相棒へ
本記事では、Photoshop、Illustrator、InDesignの主要な機能を、Affinity V3の各Studio(Photo / Designer / Publisher)でどう再現するかを「逆引き形式」でまとめました。
単なる機能の置き換えではなく、Adobeユーザーが違和感なく移行するための「ショートカットの共通化設定」や「2025年版の最新ワークフロー」についても解説しています。
救出した大切なデータを、新しい相棒で自由に操るための準備を始めましょう。
1. 逆引き解決リスト:Adobeの基本操作をAffinityで再現する
移行初期に戸惑いやすい「思想の違い」を解消するための最短ルートです。
- 「Ctrl+D(変形の繰り返し)」を行いたい
- 解決: Affinityでは Ctrl(Cmd)+J(複製)がその役割を担います。一度複製して変形を加えた後、再度実行することで動作が繰り返されます。
- 「クリッピングマスク」を適用したい
- 解決: レイヤーパネルで、マスクしたいオブジェクトを親レイヤーの「名前の右側」へドラッグ&ドロップします。階層構造による直感的な管理が可能です。
- 「整列・分布」パネルが見当たらない
- 解決: ツール選択中に画面上部に表示される「整列」ボタンをクリックするか、右側の「整列」パネルを使用します。
- 線幅を部分的に変更したい(線幅ツール)
- 解決: Vector Studioの 「線幅ツール」 を使用します。パス上の任意のポイントで太さを直感的に調整可能です。
2. Vector Studio(旧Designer)↔ Illustrator 対応表
ベクター描画における主要ツールの対照表です。V3で追加された新機能も含めています。
| カテゴリ | Adobe Illustrator | Affinity Vector Studio | 実務上のポイント |
| 選択 | 選択ツール(V) | 移動ツール(V) | 常に変形ハンドルが表示されます。 |
| ダイレクト選択 | ダイレクト選択ツール(A) | ノードツール(A) | 複数のノードを選択して一括整列も可能です。 |
| パス作成 | ペンツール(P) | ペンツール(P) | 描画の基本挙動は共通しています。 |
| 曲線編集 | 曲率ツール | ポイント変形ツール | ノードではなく「セグメント(線)」を直接変形。 |
| パス編集 | パスのアウトライン | 境界線を展開 | 境界線を塗りオブジェクトに変換します。 |
| 形状合成 | パスファインダー | ジオメトリ | 合成後も「複合シェイプ」として非破壊編集が可能です。 |
| 図形作成 | シェイプ形成ツール | シェイプビルダー | ドラッグで結合、Altで削除。面認識の精度が高いのが特徴。 |
| 画像変換 | 画像トレース | オートトレース(V3) | V3新機能。 ラスター画像をベクターパスに自動変換します。 |
| グラデーション | グラデーションツール(G) | 塗りつぶしツール(G) | キャンバス上で直接塗りの方向と色を調整。 |
| アウトライン | 文字のアウトライン作成 | カーブに変換 | テキストをパスデータへ変換します。 |
| ボード管理 | アートボードツール | アートボードツール | 自由なサイズ設計と、ボードの階層化に対応。 |
| 書き出し | アセットの書き出し | 書き出しペルソナ | 複数形式のスライス一括書き出しに特化したモード。 |
3. Pixel Studio(旧Photo)↔ Photoshop 対応表
写真レタッチおよびビットマップ編集の主要機能です。
| カテゴリ | Adobe Photoshop | Affinity Pixel Studio | 実務上のポイント |
| 不要物除去 | コンテンツに応じた塗りつぶし | インペインティングブラシ | 修正箇所をなぞるだけで、周囲の画素から自動補完。 |
| 変形 | 自由変形(Ctrl+T) | 移動ツール(V) | 常に変形可能な状態であり、ツール切り替えが不要。 |
| 非破壊フィルタ | スマートフィルター | ライブフィルター | レイヤーとしてフィルタを重ね、後から数値調整が可能。 |
| ゆがみ | フィルター > ゆがみ | ゆがみペルソナ | メッシュ変形に特化した専用の編集環境。 |
| 空の置換 | 空を置換 | 空の置き換え(V3) | AIによる自動セグメンテーションで自然な合成が可能。 |
| 非破壊編集 | スマートオブジェクト | 配置された画像 | 外部ファイルのリンク・埋め込み双方に対応。 |
| RAW現像 | Camera Raw | 現像ペルソナ | RAW展開に特化した非破壊補正モード。 |
| Web保存 | Web用に保存 | 書き出しペルソナ | スライス機能を用いて各パーツを最適に書き出し。 |
4. Layout Studio(旧Publisher)↔ InDesign 対応表
DTP・ページレイアウトにおいて、効率化に直結する機能の対比です。
| カテゴリ | Adobe InDesign | Affinity Layout Studio | 実務上のポイント |
| 素材管理 | CCライブラリ | アセットパネル | Canva連携。 Canva Proのアセットを直接利用可能。 |
| 基本設定 | 親ページ(旧マスター) | マスターページ | 複数のマスターを適用する「階層型マスター」に対応。 |
| 一括管理 | リンクパネル | リソースマネージャー | 画像の解像度管理やリンク・埋め込みの切り替え。 |
| 連結 | テキストフレームの連結 | テキストフロー | テキストのオーバーフローを他フレームへ自動流し込み。 |
| 目次/索引 | 目次・索引作成 | 目次・索引パネル | テキストスタイルに基づいた自動生成。 |
| チェック | プリフライト | プリフライトパネル | リンク切れや解像度不足をリアルタイムで警告。 |
| 入稿 | パッケージ | パッケージ | 使用フォント、リンク画像を一つのフォルダに集約。 |
5. 導入初日に確認すべき設定と操作のポイント
Adobe製品に慣れている方が、最初に設定しておくことで違和感を軽減できる項目です。
- ショートカットのカスタマイズ
[設定] > [ショートカット] から、手のひらツールやズームの挙動をAdobe準拠に変更可能です。 - コンテキストツールバーの活用
Affinityでは右クリックメニューよりも、画面上部に表示される「コンテキストツールバー」に主要な設定が集約されています。 - StudioLink(スタジオリンク)の活用
Layout Studioを使用中、アプリを切り替えずにVectorツールやPixelツールを呼び出せる独自のワークフローです。これにより「保存して再配置」という手間が消失します。
まとめ
Affinity V3は、Adobe製品の有力な代替となるだけでなく、独自の高速なワークフローを持っています。最初は名称や階層構造の違いに戸惑うかもしれませんが、本ガイドがそのギャップを埋める一助となれば幸いです。
出典・参照: