Google Vidsは、Google Workspaceに新しく加わったAI搭載の動画作成アプリです。従来の動画編集の複雑さを排除し、まるでGoogleドキュメントを扱うように、誰でも簡単に、高品質なビジネス動画を作成・共有できます。
本ガイドでは、Google Vidsへのアクセス方法から、Gemini AIを活用した最初の動画作成手順、そしてビジネスに必須の共同編集と書き出しまでを完全解説します。
Google Vidsへのアクセス確認(最も重要なステップ)
Vidsは順次提供が拡大されていますが、まずはご自身のアカウントで使える状態にあるかを確認しましょう。これが利用開始への最初のステップです。
1. Google ドライブにアクセス
PCのWebブラウザ(Google Chrome推奨)でGoogleドライブ(drive.google.com)を開き、Googleアカウントでログインします。
2. 「新規作成」メニューを確認
画面左上にある青い [+ 新規] ボタンをクリックします。
3. Vidsの項目を探す
ドロップダウンメニューの [その他] の中に [Google Vids] という項目があるか確認してください。
| Vidsの有無 | 状態 | 次のステップ |
| ある | 機能が解放されています。 | ステップ1へ進む |
| ない | 機能がまだ解放されていません。 | 【補足】を参照 |
【補足】Vidsが見つからない場合の対策と利用条件
「Google Vids」の項目がない場合、以下のいずれかの状態にあります。
- ロールアウト待ち: 機能の解放が順次行われているため、待機が必要です。
- Gemini AI機能の利用条件: VidsのAIによる自動生成機能(Gemini)は、通常、Google WorkspaceのGemini Add-onまたはEnterprise Plusなどの上位プラン、あるいはGoogle One AI Premiumのユーザー向けに提供されます。
→ 対策: 待てない場合は、Googleの「Workspace Labs」という試験運用プログラムに登録することで、テスト版機能に早期アクセスできる可能性があります。
ステップ1:Gemini AIによる動画の「骨格」を自動生成する
Vidsの最大の強みは、Gemini AIにプロンプト(指示)を与えるだけで、動画の構成案、スクリプト、素材の選定までを数秒で自動生成してくれる点です。
1. Vidsを起動
Googleドライブで [+ 新規] → [その他] → [Google Vids] をクリックして起動します。
2. 「AIに手伝ってもらう(Help me create)」を選択
動画作成画面が開いたら、[Help me create](または「AIで動画を計画する」)を選択します。
3. 動画の目的を具体的に入力(プロンプト)
作成したい動画の目的、ターゲット、長さを具体的に入力します。AIへの指示が具体的であるほど、質の高い構成案が生成されます。
(プロンプト例)
- 「新しいクラウドストレージサービスの利用方法を顧客に説明するための、90秒の導入チュートリアル動画を作成してください。ターゲットはITに不慣れな初心者。」
- 「次週のチームミーティングで報告するための、先月の営業実績の要点をまとめた45秒の動画。トーンは明るく、達成感を強調すること。」
4. 参照ドキュメントの指定(オプション)
AIに読み込ませたいGoogleドキュメントやスライドがある場合は、ここで指定します。AIがその内容を読み込み、情報の正確性を保ったままスクリプトに反映させます。
5. 構成案の確認と調整
数秒待つと、AIが以下の要素を含むストーリーボード(構成案)を自動生成します。
- 動画全体のテーマとタイトル
- 動画を構成するシーンの概要
- 各シーンのスクリプト(草稿)
この構成案は完全に編集可能です。不要なシーンの削除や、スクリプトの修正を行って、動画の「骨格」を固めてください。
AI活用を成功させるための重要ヒント(生成品質向上の秘訣)
Vidsの真価を引き出すには、Geminiへの指示(プロンプト)が鍵となります。より質の高いファーストドラフト(初稿)を得るために、以下の点を実践しましょう。
- 目的とトーンを明確に: 「誰に、何を伝えたいのか」「感情に訴えかけるのか、論理的か」など、動画のトーンと最終的な行動喚起(CTA)を明確に伝えましょう。
- 尺(長さ)とシーン数を指定: 「30秒以内、5シーンで構成」のように具体的な制約を加えることで、AIがブレずにアウトプットできます。
- 参照ドキュメントの活用: 参照ドキュメント(スライドや企画書など)を指定することで、AIは事実情報に基づいた動画を生成でき、内容の正確性が格段に向上します。
ステップ2:直感的な編集、共同作業、そして書き出し
構成案が承認されると、Vidsの編集画面(タイムライン)に移動します。Vidsの編集操作は、スライドを入れ替えるのと同じくらい直感的です。
1. メディアの確認と差し替え(ドラッグ&ドロップ)
AIは各シーンのスクリプトに合わせて、ライセンスフリーの高品質なストック動画や画像を自動で配置しています。
- 直感的な操作: 提案された素材が合わない場合でも、画面上の素材ライブラリから新しい素材を選び、ドラッグ&ドロップで簡単に差し替えることができます。
2. ナレーションの追加
動画に命を吹き込むナレーションを追加します。
- AI音声の選択: 用意されたプロフェッショナルなAI音声の中から、動画のトーンに合った声を選択し、スクリプトを読み上げさせることができます。
- 自分の声を録音: マイクを使って自分で録音することも可能です。その際、画面にスクリプトがテレプロンプター(カンペ)のように表示されるため、カメラ目線でスムーズに話せます。
3. 最終調整と共同編集の活用(ビジネスメリット)
Vidsが真価を発揮するのが共同編集機能です。
- リアルタイム編集: Google ドキュメントと同じ操作感で、複数のメンバーがリアルタイムで同時に編集できます。
- 迅速なフィードバック: 特定のシーンにコメントを残してフィードバックを求めると、レビューを受けたメンバーはすぐに修正に着手でき、動画作成のリードタイムを大幅に短縮できます。
- その他の調整: BGMの選定・音量調整、テキストやアニメーションのカスタマイズを行います。
4. 動画の書き出し(エクスポート)と共有
最終確認が終わったら、動画を共有可能なファイル形式(通常はMP4)に変換します。
- 画面右上の [共有] または [エクスポート] ボタンをクリックします。
- 書き出しの設定(解像度など)を行い、処理が完了すると、動画ファイルはGoogleドライブに保存されます。このドライブファイルへのリンクを共有すれば、即座に動画の配布が完了します。
Google Vidsは、「動画作成」を「ドキュメント作成」と同じくらい手軽な日常の作業に変えるツールです。このガイドを活用し、ぜひ最初のAI動画作成に挑戦してみてください。