映像編集において、色調補正は非常に重要な作業です。色調補正を行うことで、映像の雰囲気や印象が大きく変わります。特に、Premiere Proのような強力な編集ソフトを使う場合、色調補正はプロフェッショナルな仕上がりに欠かせません。
この記事では、Premiere Pro初心者向けに、映像を美しく仕上げるための基本的な色調補正方法を5つのポイントに分けて解説します。色調補正の基本を学んで、あなたの映像編集スキルを向上させましょう。
1. カラーコレクションとカラーグレーディングの違いを理解しよう
まず最初に、カラーコレクションとカラーグレーディングの違いを理解することが重要です。この二つの作業は、どちらも色調補正において欠かせない役割を果たしますが、目的や作業内容が異なります。
カラーコレクション(Color Correction)
• 目的: カラーコレクションは、映像の色味を正確に整える作業です。具体的には、露出やホワイトバランスの調整を行い、映像を自然でバランスの取れた色合いにします。
• 作業内容: 色温度やティントを調整して、映像の色温度を正しく設定し、色が偏らないように補正します。
カラーグレーディング(Color Grading)
• 目的: カラーグレーディングは、カラーコレクションで整えた色合いを基に、映像に特定の雰囲気やスタイルを加える作業です。シネマティックな映像を作るために使われます。
• 作業内容: 既存の色調補正を基に、クリエイティブなカラーエフェクトを追加して、映像のトーンや感情的な印象を強化します。
2. ホワイトバランスの調整
色調補正の最初のステップとして、ホワイトバランスの調整を行います。ホワイトバランスが適切でないと、映像が青っぽく見えたり、赤っぽく見えたりします。難しく考えずにまず自動の基本補正を試してみましょう
ほとんどの場合ホワイトバランスが適切に補正されると思います。
うまくいかなかった場合は手動で調整する必要があります。
色温度とティントの調整
• 色温度: 色温度は、映像の色味を暖色系(赤やオレンジ)または寒色系(青)に調整します。
• 右にスライドすると、映像が暖かく(赤みが強く)なります。
• 左にスライドすると、映像が冷たく(青みが強く)なります。
• ティント: ティントとは、色温度を調整した後に、赤(マゼンタ)と緑のバランスを調整するために使用します。ティントを微調整することで、映像の色合いがより自然に仕上がります。
3. 露出とコントラストの調整
次に、露出とコントラストの調整を行います。露出は、映像全体の明るさを調整し、コントラストは映像に深みを与えます。適切な露出とコントラスト調整を行うことで、映像がより魅力的になります。
露出の調整
• 露出が高すぎると、映像が白飛びし、ディテールが失われます。
(左のグラフの上部に接触している状態)
• 露出が低すぎると、暗部がつぶれてしまい、視認性が悪くなります。
(左のグラフの下部が接触している状態)
コントラストの調整
コントラストを調整することで、映像に深みや立体感を加えます。露出を適正に調整した後、コントラストで全体のバランスを取ることが重要です。
ここまでがカラーコレクションの基本作業です。
Premiere ProのLumetriカラーで使う以下の6つのパラメータについて解説します。
項目 | 役割 | 上げる(+) | 下げる(−) |
---|---|---|---|
露光量 | 映像全体の明るさ | 明るくなる | 暗くなる |
コントラスト | 明暗のメリハリ | はっきりする | フラットになる |
ハイライト | 明るい部分の光の強さ | より明るくなる | 白飛びを抑える |
シャドウ | 影の部分の明るさ | 影を明るくする | 影を引き締める |
白レベル | 一番明るい部分の強さ | 白を強調 | 白飛びを抑える |
黒レベル | 一番暗い部分の強さ | 黒を明るくする | 黒を引き締める |
✅ ワンポイントアドバイス
- まず露光量を調整して明るさを決める
- ハイライト・シャドウで細かく調整
- 白レベル・黒レベルで仕上げる
- コントラストは最後に全体のバランスを見て調整
この調整手順で映像の明るさや色のバランスをコントロールできます!
4. カラーグレーディングの基本
カラーグレーディングは、映像全体のトーンを調整し、特定の雰囲気を作り上げる重要な工程です。シネマティックな映像や特定のスタイルを作るために活用できます。
今回はRGBカーブとLUTを簡単に解説します。
RGBカーブで調整(基本補正で使用する場合があります)
Lumetriカラーの「カーブ」セクションを使って、シャドウ(暗部)、ハイライト(明部)、中間トーンを微調整します。これにより、映像に深みやシネマティックな雰囲気を加えることができます。
• シャドウ: 映像の暗部を調整し、ディテールを強調します。
• ハイライト: 映像の明るい部分を調整し、鮮明にします。
5. 色補正とクリエイティブなエフェクト
色補正だけではなく、LUT(Look-Up Table)やフィルターを使ったクリエイティブなエフェクトを加えることで、映像に個性を持たせることができます。LUTを使えば、特定のスタイルに即座に適用できます。
LUTの使用(2箇所から呼び出せます)
LUTを使用することで、色調補正を一気に行い、特定の映画や写真風に仕上げることができます。例えば、ビンテージ風、フィルム風、モノクローム風など、さまざまな効果を簡単に得ることができます。
ビフォーアフターで比較
色調補正前後の映像を比較することで、補正がどれだけ映像に変化を与えたかを確認できます。色調補正の前後で映像の見栄えがどう変わったかを実際に見てみましょう。
まとめと次のステップ
これで、Premiere Proでの基本的な色調補正の方法を学びました!今回学んだ5つのポイントを振り返り、映像制作をよりプロフェッショナルに仕上げるための第一歩を踏み出しました。
学んだこと
- ホワイトバランスの調整: 映像の色温度を適切に調整して、自然な色合いを実現。
- 色温度とティントの調整: 映像の暖かさや冷たさを調整し、赤(マゼンタ)と緑のバランスを取ることで、より自然な色合いに仕上げました。
- 露出とコントラストの調整: 映像の明るさや深みを調整し、鮮明で引き締まった映像に仕上げる方法を学びました。
- カラーグレーディングの基本: 映像全体のトーンを作り上げ、シネマティックな雰囲気を加える方法を紹介しました。
- ビフォーアフターで比較: 色調補正前後の映像を比較して、改善点を強調しました。
次のステップ
このチュートリアルは、Premiere Pro を使って動画の色調補正を行う方法について説明しています。
カラーコレクションとカラーグレーディングの違い、ホワイトバランス、露出、コントラストの調整方法、カラーグレーディングの基本、そしてLUTやフィルターを使ったクリエイティブなエフェクトの追加方法を説明し、色調補正の前後の映像を比較することで、編集の効果を確認する方法も紹介しています。
最後に、次のステップとして、より高度な技術を学ぶためのチュートリアルを紹介したり、コメント欄での質問やフィードバック、チュートリアルの共有を促したりしています。